税金の行方を追う
福岡県の防災工事は、本当に効果があった?
福岡県は2026年10月30日、 これまで進めてきた県土強靱化の取り組みについて、 河川、海岸、砂防、道路の8事例を公表しました。
県は、河川改修や遊水地、砂防堰堤、道路の地すべり対策などによって、 浸水や土砂災害の防止・軽減効果が確認されたとしています。
では、実際にどんな被害があり、 どんな工事を行い、 その後どう変わったのでしょうか。
福岡県の公式資料をもとに確認します。
8 CASES
県が公表した8つの防災・減災事例
県が公表したのは、主に整備内容と防災・減災効果です。 税金ウオッチ福岡県では、今後それぞれの事業費も確認します。
RIVER 01
桂川 796戸の浸水被害から「浸水なし」へ
2017年7月の九州北部豪雨では、 筑後川水系の桂川周辺で 796戸の浸水被害が発生しました。
その後、県は河川改修や遊水地整備を実施しました。
2017~2023年
九州北部豪雨後に河川改修を進めました。
8.0km
桂川の整備延長です。
6.5km
支川の荷原川でも整備を行っています。
約18万m³
2023年7月豪雨時に洪水を一時的に貯留しました。
RIVER 02
金丸川・池町川 981戸の浸水被害に対策
2018年7月豪雨では、 金丸川・池町川流域で 981戸の浸水被害が発生しました。
県は地下調節池、地下放水路、排水機場などを整備しています。
地下調節池、地下放水路、排水機場を組み合わせて、 流域の浸水対策を進めています。
RIVER 03
紫川・ます渕ダム 191戸の浸水被害から対策
北九州市の紫川では、 2009年7月の大雨で 191戸の浸水被害が発生しました。
その後の河川改修とます渕ダムの運用により、 県は2025年8月の大雨で浸水被害を防止したとしています。
COAST
高潮対策は2地区で効果を確認
新浜町地区
高潮対策事業により、 県は過去の被災と同規模の台風による 被害を防止したとしています。
事業期間は2011~2029年、 整備延長は770mです。
文久開地区
こちらも高潮対策事業によって、 過去の被災と同規模の台風による 被害を防止したとしています。
事業期間は2003~2027年、 整備延長は830mです。
SABO
砂防堰堤が土石流を捕捉
砂防堰堤1基
2022年度に完成した 船底谷川第二砂防堰堤が、 2025年8月10日の大雨で発生した土石流を捕捉しました。
県は、下流の人家や道路への被害を 未然に防いだとしています。
事業期間は2018~2022年です。
人家被害ゼロ
急傾斜地崩壊対策事業を実施。
県は、過去の被災と同規模の大雨に対して 効果を発揮し、 人家被害がゼロだったとしています。
事業期間は2013~2022年、 法面対策工は2,957㎡です。
ROAD
水巻芦屋線 24時間雨量413mmでも被害なし
県道水巻芦屋線では、 道路法面の地すべり対策を実施しました。
2023~2024年
道路法面の地すべり対策を実施しました。
70m
アンカー工による地すべり対策です。
CAREFUL READING
「被害ゼロ=すべて工事のおかげ」とは限らない
今回の8事例は、 福岡県が防災・減災効果を確認したとして 公表したものです。
ただし、 過去の災害と整備後の災害では、 雨量、降り方、河川水位、 台風の進路などの条件が完全に同じとは限りません。
工事後に被害が減ったという事実は重要ですが、 被害減少のすべてが工事だけによるものかは、 気象条件なども含めて見る必要があります。
FOLLOW THE MONEY
では、この工事にいくら使った?
今回の県発表で不足しているのが、 それぞれの事業に投入した税金の総額です。
総事業費
河川、海岸、砂防、道路それぞれの 総事業費を確認します。
国と県の負担
国土強靱化予算など、 国費と県費をそれぞれいくら投入したのか確認します。
追加費用
当初予算から工事費が増額していないか、 契約変更も確認します。
維持管理費
完成後に必要となる 維持管理費も確認します。
防災工事は被害を防げば大きな社会的効果があります。 その一方で、 どれだけの税金を投入したのかも 県民にとって重要な情報です。
TAX WATCH VIEW
税金ウオッチの見方
防災工事は、 売上や利益のように 成果を簡単に金額で測れる事業ではありません。
災害が起きても 「何も起きなかった」こと自体が 大きな成果になる場合があります。
今回、福岡県は8事例について 浸水防止、土石流の捕捉、 高潮被害防止、 道路被害防止などの効果を公表しました。
次に必要なのは、 その効果を得るために、いくらの税金を投入したのか を確認することです。
税金ウオッチ福岡県では、 今後、各事業の総事業費や県負担額を確認し、 防災効果と合わせて追跡します。
CURRENT STATUS
県は8事例で防災・減災効果を公表
福岡県は2026年10月30日、 河川3件、海岸2件、 砂防2件、道路1件の 計8事例について効果を公表しました。
桂川では2017年豪雨時に796戸、 金丸川・池町川では2018年豪雨時に981戸、 紫川では2009年大雨時に191戸の 浸水被害が発生していました。
県はその後の整備によって、 浸水被害の防止や土砂災害の抑制などの 効果が確認されたとしています。
一方で、 今回の発表では8事例の工事費が 一覧で示されているわけではありません。
各事業の総事業費、 国費・県費の負担割合、 契約変更、 維持管理費などを確認し、 「いくら使って、どれだけ被害を防いだのか」を追います。